「化学発光」は化学反応に伴う発光現象をいいます。
「化学発光」は「生物発光」とも関連があります。生物において酵素が関与する化学発光を「生物発光」と呼んでいます。
19世紀後半、フランスのデュボワはコメツキムシの一種であるヒカリコメツキの発光組織を調べ、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応と名づけた化学反応によって発光現象が起こることを見出しました。
ホタルの光もルシフェリン-ルシフェラーゼ反応によるものです。
ホタルの光の色は種類によって色が異なります。たとえば、ゲンジボタルは青緑色ですが、ヒメボタルは白色、アメリカホタルは黄色の光です。
発光生物はホタル以外にも、ウミホタル、ホタルイカ、発光クラゲ、ヒカリゴケなど数多くあります。
化学発光で有名なものとしては、ルミノールの化学発光があります。これはオゾン、鉄錯体、血液中のヘミンやヘモグロビンなどにより青白い発光を生じるものです。ルミノールの化学発光は血痕の鑑別法として知られていますが、この方法はヘミンやヘモグロビンを検出することにより、血痕の存在を判断するものです。
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この他に、過シュウ酸エステル化学発光があります。ルミノールではそれ自身の反応によって生じた生成物が発光しますが、過シュウ酸エステル化学発光ではシュウ酸誘導体と過酸化水素との反応に伴って、共存する蛍光物質(ペリレンなど。実験IIを参照してください。)が発光します。
したがって、過シュウ酸エステル化学発光での発光色は蛍光物質固有の色になります。そのため、共存する蛍光物質を変えることにより、発光色を変化させることができます。
反応物質であるシュウ酸誘導体としては右図のような物質が使われます。右図のシュウ酸誘導体の Ar は右側のベンゼン誘導体を示しています。 |
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■ルシフェリン
ルシフェリンは発光生物によって異なります。
■ルシフェラーゼ
ルシフェラーゼは酵素の1種で、酸素(空気)の存在下でルシフェリンを酸化してオキシルシフェリンと二酸化炭素を生成する反応の触媒として働きます。
■ヘモグロビン
ヘモグロビンは血色素ともよばれます。ほとんどの脊椎動物の赤血球にあって、血液中で酸素を運ぶ働きをするタンパク質です。 |
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