超伝導 先端科学をのぞいてみよう トップページへ
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20世紀の初めころには、いろいろの気体が低温にすると液体になることがわかってきました。 ヘリウムは最も液体になりにくい気体だったので、 科学者はヘリウムを何とか液体にしたいと挑戦していました。また、そのころ、 金属の電気抵抗が非常に低い温度では 大きくなるのか小さくなるのかという論争が科学者の間で起こっていました。 このような科学の問題が注目されていたため、カマリング・オネスは低温での 水銀 の電気抵抗について研究をしていて、1911年に超伝導現象を発見しました。 彼は液体ヘリウムの製造に関する低温現象の研究で 1913年にノーベル賞を受賞しました。


その後、スズなども極低温で超伝導現象を示すことがわかりました。 超伝導現象が発見されたころは液体ヘリウムの温度 (−269℃(絶対温度では4.2 K))位の 極低温でしかこの現象を示す物質は見つかっていませんでした。
しかし、1986年ころから30 K(−243℃)よりも高い温度でも超伝導現象を示す物質が 見つかるようになりました。現在では130 K(−143℃)付近でも超伝導現象を起こす 超伝導物質が見つかっています。 このような業績に対してベドノルツとミューラーが1987年にノーベル賞を受賞しています。


80 K 位の温度になると、超伝導物質を冷やすために 液体ヘリウムを使わなくても77 K で液体になる 窒素(液体窒素)を使うことができます。 ヘリウムは地球上にごくわずかしかないので高価ですが、 窒素は空気の主成分で大量にあるため液体窒素を 安く製造することができ、超伝導現象の応用には都合が良いのです。


ジョン・バーディーン、レオン・クーパー、ジョン・シュリーファーの3人は超伝導現象を理論的に 説明しました。そのため、この理論は彼らの名前の頭文字をとって BCS 理論と呼ばれています。 この業績に対して、彼らは1972年にノーベル賞を受賞しています。

また、その後の強力な超伝導磁石の開発に寄与した超伝導の理論的な研究に対し、 ビタリー・ギンツブルク、アレクセイ・アブリコソフ、アンソニー・レゲットの3人が2003年の ノーベル物理学賞を受賞することになりました。さらに、同年には超伝導磁石を利用した MRI (磁気共鳴画像診断装置)の開発の基礎をつくったポール・ラウターバーとピーター・マンスフィールドにノーベル医学生理学賞が送られることになりました。


このように、超伝導現象の解明や応用に対して貢献した人たちに何度もノーベル賞が授与されていますが、超伝導現象についてはまだまだわからないことが残されています。また、超伝導現象に限らず他の科学分野にも非常に多くの未解決の問題が残されています。皆さんも理科をおおいに勉強して大きくなったら科学に取り組んでみませんか。




■ヘリウム
ヘリウムの元素記号は He で、空気中におよそ0.0005%含まれています。

■電気抵抗
電気の流れやすさを示しているのが電気抵抗です。

■水銀
水銀の元素記号は Hg です。

■液体ヘリウム
液体になったヘリウムを液体ヘリウムといいます。

■ノーベル賞
スウェーデンの化学者・技術者であるアルフレッド・ノーベルはダイナマイトを発明し大金持ちになりました。ノーベル賞はノーベルが 1901年に世界の平和を祈願して設けた世界最高の賞です。

■絶対温度
温度の表し方。

■K
絶対温度の単位

■窒素
窒素の元素記号は N で、空気中におよそ78 %含まれています。

■空気
空気はおよそ 78 %の窒素と 21 %をしめる酸素が主成分です。残りのおよそ 1 %は二酸化炭素、水蒸気、希ガスといわれる気体からできています。