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(1)光の波長と色
光化学反応では光が重要な働きをしますので、まず、光について調べてみましょう。太陽光をプリズムに通すと虹のような色に分けることができます。このことから、太陽光はいろいろの色の光からできていることがわかります。光の色の違いは光の波長の違いによるものです。

下図に光の波長と色の関係を示してあります。400 nm くらいの波長の光は紫色をしています。550 nm くらいの波長の光は緑色です。650 nm くらいの光は赤色をしています。およそ400 nm くらいから650 nm くらいまでの光は人間の目で見ることができるので、可視光と呼ばれます。可視光よりも短い波長の光(およそ400 nm よりも短い波長の光)は人間の目には見えません。このような短い波長の光は紫色の光の範囲外にあるために、 紫外線と呼ばれます。紫外線は波長が短いためにエネルギーが大きく、人間の肌の日焼けの原因となります。一方、可視光よりも長い波長の光(およそ650 nm よりも長い波長の光)も人間の目には見えません。このような長い波長の光は赤色の光の範囲外にあるために、赤外線と呼ばれます。赤外線は熱線とも呼ばれるように、この領域の波長の光を受けると暖かさを感じます。


   

  

分光器を使っていろいろの波長(400〜700 nm)の光を見てみましょう。

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(2)物質の色
物質の色について考えるときに、固体と液体の物質に分けて考えてみましょう。
◯固体の物質の色
固体に光があたると、固体の物質に固有の波長の光が吸収されます。吸収されない波長の光は反射されます。人間の目には物質に吸収されなかった波長の光が届きますので、反射光の波長の色を物質の色と判断します。吸収されない波長の光の色を補色といいます。したがって、固体の物質の色は吸収された光の色の補色になります。
液体の物質の色
液体の場合は、液体を透過してきた光が人間の目に入ります。そのため、液体で吸収されずに透過してきた光の色を液体の色と判断します。

(3)物質による光の吸収
物質はそれぞれ固有の色をもっています。このことから、物質が吸収する光の波長が物質に固有であることがわかります。光の吸収は分子中の(原子に含まれている)電子のエネルギー状態が変わることにより起こります。下のヤブロンスキー 図に芳香族化合物など有機化合物の模式的な電子のエネルギー状態の図を示してあります。
 

光を吸収する前の分子はエネルギーの低い基底状態(ヤブロンスキー図の S の状態)にいます。分子が光を吸収すると、吸収した光のエネルギーだけ余分のエネルギーをもつことになります。 したがって、ヤブロンスキー図の S などのエネルギーの高い状態になります。このS0-S1などのエネルギーレベルの間隔(エネルギー差)が吸収される光の波長に対応するので、物質によって吸収される光の波長が異なります。
物質がもつエネルギーの高い状態を励起状態といいます。通常の有機化合物ですと、基底状態が一重項状態なので、光を吸収した直後の状態も一重項状態なので、その状態を励起一重項状態といいます。

(3)励起状態       
光を吸収して、余分のエネルギーをもった状態(励起一重項状態)から分子は余分のエネルギーをなくしてエネルギーの低い安定な状態になろうとします。その変化の仕方には主に次の4つの過程があります。
(a)余分の エネルギーを光として出して、元の状態(基底状態)に戻る。
   このとき出る光を蛍光といいます。
(b)余分のエネルギーを熱として出して、元の状態(基底状態)に戻る。
(c)余分のエネルギー使って化学反応を起こす。この反応を光化学反応といいます。
(d)余分のエネルギーを少しだけ熱として出して、別の励起状態(三重項状態)へ移る。

   この三重項状態も励起一重項状態同様エネルギーの高い状態なので、余分のエネルギー   をなくして 安定な状態(基底状態)へ戻りますが、その変化の仕方には以下の3つの過程  
があります。
   (d-1) 余分の エネルギーを光として出して、元の状態(基底状態)に戻る。
       このとき出る光を燐光といいます。
   (d-2) 余分のエネルギーを熱として出して、元の状態(基底状態)に戻る。
   (d-3) 余分のエネルギー使って化学反応を起こす。この反応も光化学反応になります。

歴史
原理
実験1
実験2
応用
用語
質問
 




■nm
長さの単位。"n" は10-9 を表します。


■可視光
人間の目で見ることのできる光をいいます。


■紫外線
紫色の光よりも波長の短い光をいいます。


■赤外線
赤色の光よりも波長の長い光で、目に見えない光です。

詳しい用語説明は、 用語説明ページを ごらんください。




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■補色
2つの光を適当な割合で重ねると白色となるとき、この2つの光の色は互いに補色であるといいます。







 

詳しい用語説明は、 用語説明ページを ごらんください。

■基底状態
エネルギーの最も低い安定な状態をいいます。


■励起状態
エネルギー的に最も安定な状態(基底状態)以外のよりエネルギーの高い状態をいいます。


■一重項状態
スピン量子数がゼロの状態。


■励起一重項状態
一重項状態のうち基底状態でないエネルギーの高い不安定な状態をいいます。