シクロデキストリン 先端科学をのぞいてみよう トップページへ

シクロデキストリンが有機化合物などをゲストとして空洞に包接すると、包接されたゲスト分子は空洞の中に入るためその影響を受けてゲスト分子の性質が変化します。空洞内に包接されることにより、不安定なゲスト分子ではゲスト分子の安定性が増したり、水に溶けにくいゲスト分子では水に溶けやすくなったり、揮発性のゲスト分子では揮発しにくくなったりします。ゲスト分子を用いている製品では、ゲスト分子をシクロデキストリンに包接させることにより、ゲスト分子の特性を改良、改善することができます。そのため、シクロデキストリンは食品工業、医薬品、化粧品、樹脂などの製品に使われています。

たとえば、食品関連の製品においては、香料やお茶などの揮散しやすい成分の安定化、練りわさびやおろしショウガなど酸素、紫外線、水などで分解しやすい成分の安定化、粉末調味料、粉末スープなどの吸湿性の成分に対する吸湿性の改善、缶詰やドリンクなどの苦味や異臭の改善、アイスクリームやドレッシングなどの乳化性の改善、コレステロールなどの食品成分の除去など多くの用途があります。



シクロデキストリンが含まれている市販の食品、飲料などを示したのが上の写真です。
チューブ入りの練りワサビにはワサビの成分が抜けてしまわないようにシクロデキストリンが使われていることはよく知られています。食品の成分表の中に「シクロデキストリン」あるいは「環状オリゴ糖」と書いてあれば、その製品にシクロデキストリンが使われていることを表わしています。





左の写真はある練りワサビの箱に書かれている成分表ですが、この中には「環状オリゴ糖」(「シクロデキストリン」のこと)が明記されて ます。



左の写真はあるペットボトルの清涼飲料水の成分表です。これにも「環状オリゴ糖」の表記があり、「シクロデキストリン」が含まれていることがわかります。



これら以外にもまだまだシクロデキストリンが含まれている製品が身の回りにあると思います。食品などを手に取ったときに成分表を見てみたらどうでしょう。意外なものにシクロデキストリンが使われていて驚くかもしれません。

歴史
構造1
構造2
包接現象
応用
用語
質問


■コレステロール
コレステロールは動物の体に脂肪酸のエステルなどとして存在します。



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