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(財)国際超電導産業技術研究センター
超電導工学研究所


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電線に電流が流れると電線のまわりに磁石と同じ力が働くようになります。これを利用したのが電磁石です。電気を流すと磁石の働きをしますが、電気を流すのをやめると磁石でなくなります。そこで、重い鉄などを運ぶのに使うことができます。電磁石に電気を流して鉄をくっつけて持ち上げて運び、電気を流すのをやめると磁石でなくなるので、鉄をおきたい場所に下ろすことができます。

電流が強いと電磁石の力も強くなります。力の強い電磁石を作ろうとして強い電流を流すと、鉄線や銅線では電気抵抗のために熱が発生してあまり強い電磁石を作ることはできません。発生した熱で電磁石の温度が上がりすぎて電磁石が壊れるのを防ぐため、冷却水を流したりしますが、あまり強い電流を流すと熱の発生が多すぎて冷却が間に合わず、電磁石の温度が上がりすぎて電磁石が壊れてしまいます。しかし、電気抵抗がない超伝導物質を電線にして電流を流すと熱が出ないので、非常に強い電磁石を作ることができます。そのため、超伝導物質が注目されるようになりました。

超伝導物質の線をコイルにして電流を流すと非常に強い磁石となります。
左の写真は超伝導物質を線状にしたものです。



(2)
超伝導現象を示すときは、マイスナー効果のために磁力線が超伝導物質の中に入らなくなります。したがって、超伝導物質を超伝導現象を示す極低温にすると超伝導物質の上に置いた磁石を空中に浮かすことができます。

体重が 142 kg もある土佐ノ海関が重さ 60 kg の円盤状の磁石の上に乗っても円盤と一緒に土佐ノ海関が空中に浮いています。超伝導物質を使うとこのように強い力を作り出すことができます。

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 (財)日本相撲協会




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(財)鉄道総合技術研究所


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(3) 
超伝導磁石を使って空中に浮いて走る車輪のいらない列車(リニアモーターカー)を作る計画があります。
現在の鉄道の車両は車輪とレールとの間の摩擦を利用し車輪が回転することによって車両が進みます。しかし、この摩擦があるために、車両のスピードを今以上に早くするのは大変困難になります。そこで、車両を空中に浮かせ地上との摩擦がない状態で進むことができれば、早いスピードで進むことが可能になります。
非常に重い車両を空中に浮かせるために磁石と磁石の反発力を利用することが考えられます。超伝導磁石は非常に強い電磁石になるので、超伝導磁石をリニアモーターカーにつけておきます。リニアモーターカーが走行するそばの地上に浮上用のコイルを並べておきます。リニアモーターカーの車両が接近してくると車両にある超伝導磁石によりコイルに電流が誘起されて一時的にコイルが電磁石になり、超伝導磁石との間で力が働くためリニアモーターカーは空中に浮くことができます。


一方、地上に並べられている推進用のコイルに電流を流すと推進用コイルは電磁石になります。この地上側の推進用の電磁石と車両の超伝導磁石との間に働く力(引力と反発力)をうまく利用することにより、リニアモーターカーは進むことができます。リニアモーターカーが軌道から少しずれた場合にはやはり磁石の力で軌道のずれを修正する工夫がされています。
リニアモーターとリニアモーターカーが進む原理を説明している図です。
2003年12月にリニアモーターカーは有人走行としては最高の時速 531 km を記録しました。
右の映像は新型になる前の型のリニアモーターカーが互いにすれ違う様子を写したものです。
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(財)鉄道総合技術研究所



(4)
このほか、強い磁石が必要な装置などで、超伝導磁石の応用が見られます。 たとえば、物理学や化学などで使う NMR (核磁気共鳴装置)では液体ヘリウムで冷やした 超伝導磁石が使われています。NMR では主に 水素原子からの信号をとらえて、分子の構造を 調べたり、分子のまわりの様子を調べることができます。
同じように、医療装置でも MRI(磁気共鳴画像診断装置)が最近 よく使われるようになりました。これも非常に強い磁石として超伝導磁石を使っています。 X 線による撮影と同様に、体を切ることなく体の内部を 画像として目で見ることができます。 MRI では体の中の分子(の中の水素原子)の様子が、 病気のところとそうでないところで微妙に違うことを 利用して、今ではがんの診断や脳の検査などに広く使われています。

このように MRI は現代医療に必須の装置になってきました。これらの功績により、MRI の開発の基礎をつくった ポール・ラウターバーとピーター・マンスフィールドに2003年のノーベル医学生理学賞が 送られることになりました。

船の推進力としてはスクリューを回転することによって生じる水の流れによる力が一般的ですが、磁場と電場を使って推進力を作り出す方法が研究されています。その原理はフレミングの左手の法則を応用したものです。フレミングの左手の法則は左手の親指、人差し指、中指をそれぞれ直角になるように開き、中指、人差し指の方向をそれぞれ磁場の方向、電流の流れる方向にすると、親指の指している方向に力が働くというものです。そこで、船の底で水に磁場をかけ電流を流すことにより、船の後ろ方向へ力を働かせることができます。この力を推進力として利用しようというものです。そのときに、磁場としては強力な磁場が必要なので、超伝導磁石が使われています。


歴史
原理
実験1
実験2
応用
用語
質問


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⇒ リニアモーターとリニアモーターカーが進む原理

 




■水素
水素の元素記号は H です。 水素は1番軽い元素です。英語の水素(hydrogen)はギリシャ語の「水の素」からきています。水素は宇宙では最も多くある元素ですが、地球表面では3番目に多い元素と考えられています。

■X線
X 線は電磁波の仲間です。X 線のことをレントゲン線ともいいますが、これはレントゲンがX 線を発見したためです。


■水
水は化学式で表わすと H2O です。 水素原子2個と 酸素原子1個からできています。



詳しい用語説明は、 用語説明ページを ごらんください。