燃料電池はいろいろの分野での利用が考えられています。
自動車のエンジンの代わりに燃料電池の使用が研究されています。また、家庭用の燃料電池システムが考えられています。さらに、ノートパソコンや携帯機器などの電源として燃料電池の利用が考えられています。そのほか、宇宙や海洋開発などの分野などでも利用されています。
また、酸素は空気中の酸素が使えますが、水素はタンクに詰めた水素を使うほかに、水素を発生させる物質を使う方法が研究されています。たとえば、都市ガス(主成分はメタン)、LPガス、メタノールなどです。 |
(1)
自動車の動力源として燃料電池を使う試みがなされています。1つはガソリンエンジンと燃料電池を組み合わせたハイブリッドカーです。もう1つが燃料電池のみで走る燃料電池自動車です。
2003年には水素タンクを積んで走る燃料電池車が都営バスとして走りました。 |
(2)
家庭用の燃料電池では、電気と熱を同時に作るいわゆる「コージェネレーション」が考えられています。
たとえば、天然ガスのメタンやLPガスなどから改質器を通して水素を作り、空気中の酸素と反応させる燃料電池です。
水素と酸素が反応して電気を取り出すと同時に反応で発生する熱でお湯を沸かします。 |
提供:
東京ガス(株) |
電気と熱を利用することにより、天然ガスのエネルギーの約70%(電気で31%、熱で40%)を利用できると考えられています。一方、火力発電所で作る電気は発電に伴う廃熱や送電ロスを考慮すると元のエネルギーの約37%ほどしか利用できないといわれています。
コージェネシステムの図中の「PEFCスタック」というのが燃料電池にあたります。また、燃料電池からの電気は直流なので、交流に変えるためにインバーターを通します。 |
(3)
ノートパソコンや携帯機器などのための燃料電池としては、燃料としてメタノールを使うもの(直接メタノール方式)が考えられています。 |
(4)
海洋研究開発機構の無人深海探査機「うらしま」(全長約10メートル、重さ約10トン)は燃料電池を動力源としています。2005年の2月に、「うらしま」は水深約800メートルで潜行したまま317キロメートル航行し、自力航行の世界記録を樹立しています。
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提供:独立行政法人 海洋研究開発機構 |
提供:独立行政法人 海洋研究開発機構 |
提供:独立行政法人 海洋研究開発機構 |
左の画像は「うらしま」の燃料電池の入っている部分を示しています。 |
「うらしま」が潜行を始める様子と「うらしま」の潜行が終わって母船に引き上げられるところを映像で見てみましょう。
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映像提供
独立行政法人 海洋研究開発機構 |
(5)
燃料電池で動くロボットも商品化されています。燃料電池はロボットの肩に2個ずつ、腰に1個の合計5個積まれています。
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「Speecys-FC」:提供 スピーシーズ株式会社
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右の画像はこのロボットに積まれている燃料電池です。
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「Speecys-FC」:提供 スピーシーズ株式会社 |
実際にこのロボットが動く様子と燃料電池が積まれている様子をビデオで見てみましょう。
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「Speecys-FC」:提供
スピーシーズ株式会社 構 |
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■メタン
メタンはCH4で表わされる最も簡単な構造の炭化水素(炭素原子と水素原子からできている化合物)です。
■LPガス
LPガスは液化石油ガスの略です。
■メタノール
メタノールはCH3OHで表わされる最も簡単な構造のアルコールです。
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