秋田の自然とクニマス 本文へジャンプ
クニマス再発見


 クニマス再発見のきっかけは、京都大学の中坊徹次教授(なかぼうてつじきょうじゅ)がタレントでイラストレーター、東京海洋大学客員准(じゅん)教授の「さかなクン」にクニマスのイラストを描いてもらうように頼んだことだった。さかなクンはイラストを描くとき、色の落ちたフォルマリン標本では、クニマスの自然な色が描けないということで、参考のために日本全国からクニマスと似ている「ヒメマス」を取り寄せた。

 全国各地から取り寄せたヒメマスの中に、クニマスと似た魚がいた。それが、1930年にクニマスの卵を放流した西湖のものだった。
 さかなクンは大急ぎで、中坊教授に送り確かめてもらった。その結果、クニマスらしいと分かり、西湖で実際に採集したものを解剖や遺伝子解析(いでんしかいせき)を行なった。その結果、西湖の個体はクニマスであることが判明したとし、根拠となる学術論文の出版を待たずして、12月15日にマスコミを通して公式に発表された。

 右の写真はヒメマスの幽門垂
 魚の腸の始まる部分にあって、人間の盲腸に似た消化器官で、硬骨魚(骨のある魚)だけに見られる。消化酵素を分泌(ぶんぴつ)し、食物の消化吸収を行なう。大きさや形が種(しゅ)によって一定なので、分類するときに使われる。コイやウナギの仲間にはない。

 
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  ↑幽門垂(ゆうもんすい)


※「遺伝子」(いでんし)は生物の遺伝情報を担(にな)う主なものであ ると考えられている。全ての生物でDNAを仲立ちとして、記録されて いる。西湖や他の湖のヒメマスと比べてクニマスと分かった。

右の写真は、ヒメマスのえらにあるさいはの一部です。クニマスはヒメマスに比べて数が少ない。