酸と塩基 本文へジャンプ
緩衝液


水溶液に酸や塩基を加えても水溶液のpHの変化が起こりにくいことを緩衝作用といい、このような働きをする溶液を緩衝液といいます。

血液や唾液には緩衝液としての働きがあります。また、海水にも緩衝作用があります。

弱酸である酢酸とその塩である酢酸ナトリウムの水溶液を混ぜてみましょう。混合水溶液中では、それぞれ次のように電離します。
   CH3COOH <-> CH3COO- + H+ (わずかに電離)
   CH3COONa -> CH3COO- + Na+ (ほぼ完全に電離)
この混合水溶液中でのイオンなどの濃度を考えてみましょう。酢酸は電離度の小さい弱酸なので、水溶液中ではほとんど中性分子(CH3COOH)として存在します。酢酸ナトリウムはほぼ完全に電離するので、CH3COO-とNa+も高い濃度で存在します。

この混合水溶液に酸を加えると、酸のH+と多量に存在するCH3COO-との中和反応が起こります。
   H+ + CH3COO- -> CH3COOH
その結果、加えた酸の影響を和らげることになります。

塩基を加えたときには、多量に存在するCH3COOHとの中和反応が起こります。
   OH- + CH3COOH -> CH3COO- + H2O
そのため、塩基を加えても、OH-の濃度はあまり高くなりません。つまり、pHの値はあまり変わらないのです。