地層はいつも水平…とは限りません。むしろ水平なものを見つけるのが難しいかも知れません。
 そこで,大地が力を受けると(プレート,地震など)どうなるのか,自分の目で確かめてみましょう。
きっと,大地や自然を見る目が変わってくるはずです。
このページは,大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎地学研究室の岡本義雄先生
「小麦粉を用いた断層モデル」を参考にして作成しています。
←岡本先生のホームページ
 大地が動いていることを実感するのは難しいことです。地震や火山の噴火は別として,大地の動きというのはあまりにも遅く,人間の感覚ではとらえられないからです。

 しかし,大地の動きは休むことを知りません。日本は複数のプレートに押されていることが知られています(日本は,なんと4枚ものプレートに圧力を受けています)が,そのプレートの一枚,太平洋プレートの速度を測ったところ,年間約10cmずつ動いていることがわかりました。

 年間約10cm程度であっても,止まることはありません。この巨大で不変に思える大地を,今,この瞬間も押し続けているのです。そのような力を大地が受けたらどんな変化をするのか,この断層実験を通して変化の一端を実感してみましょう。

実験の準備・手順

1.小麦粉とココアの粉,スライドケース,スプーン,フィルムを用意します。粉やスプーン以外は,カメラ屋さんに行けば手に入ります。 2.スライドケースのケース部分をカッターで切り落とします。(カッターを熱すると切りやすいようです)
3.写真のように,斜めに切り落とします。切り落としたものは,地層を押す板になります。 4.切り落としたものが,スライドケースのふた(透明な方)の幅に合うように加工します。この写真では,セロテープを巻いています。
5.必要に応じて,ふたに目盛りをつけます。(押すときの目安になります。この実験では横の実線は右から3cmに,縦の破線は下から5mm幅になっています。) 6.ふたに小麦粉をしきます。
7.なるべく均等になるように粉を入れて下さい。 8.ふたの端に,切り落とした板を置いてから(重要)ケースで小麦粉を圧縮します。

※切り落とした板を後で入れると地層が崩れます。
9.ふたの側面に余計な粉が付くので,フィルムで掃除をします。一枚の層の厚さは数mmにします。(この実験では5mmにしました) 10.一枚の地層ができたらマーカーとしてココアの粉をしきます。地層の周囲に薄くしいていきます。
11.上から見ると,こんな感じです。(これでも多かったかも…) 12.ココアをしいたらケースで圧縮です。
13.側面の余計な粉は,9.と同様にフィルムで掃除しておきます。この作業を作りたい地層の枚数分繰り返します。 14.できあがったら,端にセットしておいた切り落とした板で小麦粉とココアの地層を押していきます。すると,断層ができる様子が観察できます。
実験のポイント ☆ ケースの加工などに時間がかかり,粉を丁寧に扱う作業も必要なので,演示実験にしたり,実験の様子をムービーに撮っておいてそれを視聴するという使い方がいいと思います。(もちろん,各グループ毎に実験のセットを与えてもいいです)

☆ 切り落とした板を動かせば短時間に実験は終わってしまいますが,大地は長い時間をかけて(時には数万年から数十万年)このような動きをしていることを伝えます。日本を押しているプレートのひとつ,太平洋プレートは年間約10cmずつ日本に向かって動いている(最後は日本海溝から日本列島の下に潜り込んでいきます)ことを教えて,大地の動きを考えさせるのもいいでしょう。

☆ 紹介した実験では,3枚の地層を5mm幅で作りましたが,枚数や幅,圧縮の強さ,押し板の角度などを変えて実験してみると違った結果になると思います。また,インターネットで"小麦粉 ココア 断層"などと語句を入力して検索をすると,様々な結果の写真が参照できます。どうぞ,試してみてください。