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酸性と塩基性 イメージ

酸性・塩基性と中性

○酸性: 
硫酸 H2SO4、塩化水素 HCl、酢酸 CH3COOHなどの水溶液は酸味(すっぱい味)を示し、マグネシウム Mgなどの金属と反応して水素 H2を発生したり、 青色リトマス紙を赤色に変えたりします。このような性質を酸性といい、酸性を示す物質をといいます。

○塩基性
水酸化ナトリウム NaOH、水酸化カリウム KOH、水酸化カルシウム Ca(OH)2、アンモニア NH3などの水溶液は酸と反応して酸性を打ち消したり、手につけるとヌルヌルしたり、 赤色リトマス紙を青色に変えたりします。このような性質を塩基性またはアルカリ性といいます。塩基性を示す物質を塩基といいます。特に、水に溶ける塩基をアルカリと呼ぶことがあります。

○中性
水や塩化ナトリウム水溶液などのように、酸性も塩基性も示さないものを中性といいます。

Mg+Hcl
上のビデオ(クリックすると見えます)は塩酸にMg片を入れると水素が発生する様子を示しています。

リトマス紙 上の写真は赤色リトマス紙(左側)と青色リトマス紙(右側)です。  .


青色リトマス紙




上のビデオは青色リトマス紙を塩酸 HCl につけると、赤色に変化する様子を示しています。      .

赤色リトマス紙
上のビデオは赤色リトマス紙を水酸化ナトリウム水溶液につけると、青色に変化する様子を示しています。                  .


身の回りのものはどのような性質を示すでしょうか。
胃液、酢、レモン汁、炭酸飲料などは酸性を示します。一方、セッケン水や灰汁(あく:植物の灰を入れた水)などは塩基性を示します。
また、雨についても、「酸性雨」が問題になっているように、工場からの排煙や黄砂などによって、雨滴が酸性になることもあります。

酸と塩基の定義


水に溶かすと水素イオン H+を生じる物質を酸といいます。

H+は水溶液中では水分子H2Oと反応してH3O+として存在しています。このH3O+をオキソニウムイオンといいます。

○アレニウスの定義:
「酸とは、水溶液中で水素イオンH+を生じる物質である。」
○ブレンステッドの定義:
「酸とは、水素イオンH+を与える分子またはイオンである。」

塩基
水に溶かすと水酸化物イオン OH-を生じる物質をいいます。

○アレニウスの定義:
「塩基とは、水溶液中で水酸化物イオンOH-を生じる物質である。」
○ブレンステッドの定義:
「塩基とは、水素イオンH+を受け取る分子またはイオンである。」

酸・塩基の強さ

同じ酸性を示す物質でも、物質によって酸性の程度には違いがあります。水素イオン H+の濃度が高いと溶液の酸性は強くなります。したがって、水溶液中で、水素イオン濃度が高い酸を強い酸(強酸)といいます。水溶液中で、水素イオン濃度が低い酸を弱い酸(弱酸)といいます。
塩基でも同様に、水酸化物イオンの濃度が高いと塩基性が強いわけで、このような塩基を強塩基といい、水酸化物イオンの濃度が低い塩基は弱塩基といいます。

塩酸では次式のように水素イオン H+と塩化物イオン Cl-に分かれます。
          HCl -> H+ + Cl-
このように物質がイオンに分かれることを電離といいます。

水酸化ナトリウム溶液では
          NaOH -> Na+ + OH-
のように電離して水酸化物イオン OH-が生じます。
アンモニア NH3は分子中にOH-をもっていませんが、一部のアンモニア分子が水と反応してOH-を生じるので塩基です。
        NH3 + H2O -> NH4+ + OH-






H3O+

酸・塩基の価数

1分子の酸から電離する水素イオンH+の数を酸の価数といいます。同様に、1分子の塩基から電離する水酸化物イオンOH-の数を塩基の価数といいます。塩酸HCl 1分子は次式のように水素イオンH+を1個電離するので、1価の酸です。 
           HCl -> H+ + Cl-
ところが、硫酸H2SO4は次式のように、2個のH+を電離することができるので、2価の酸です。
          H2SO4 -> H+ + HSO4-      (第1段階)
          HSO4- -> H+ + SO42-      (第2段階)
全体としては
          H2SO4 -> 2H+ + SO42-

リン酸H3PO4は電離できるH+が1つの分子中に3個あるので、3価の酸です。

塩基についても同様です。
水酸化ナトリウムNaOHは次のように1個のOH-を電離するので、1価の塩基です。
          NaOH -> Na+ + OH-
一方、水酸化カルシウムCa(OH)2は2個のOH-を電離できるので、2価の塩基です。
         Ca(OH)2 -> Ca2+ + 2OH-


酸性酸化物と塩基性酸化物

非金属元素の酸化物には、水に溶けて酸性を示すものが多くあります。たとえば、三酸化硫黄SO3は次式で示すように、水と反応して硫酸を生成します。このような酸化物を酸性酸化物といいます。
     SO3 + H2O -> H2SO4
一方、金属元素の酸化物には、水に溶けて塩基性を示すものが多くあります。たとえば、酸化ナトリウムNa2Oは次式のように、水と反応して水酸化ナトリウムを生成します。
     Na2O + H2O -> 2NaOH
しかし、金属元素でも、亜鉛、アルミニウム、スズなどの酸化物は酸と塩基の両方と反応するため、両性酸化物といわれます。